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鶏肉中のカンピロバクター、飼料にバイオ炭を添加することで減少の可能性


Photo by Zosia Szopka on Unsplash
Photo by Zosia Szopka on Unsplash

デンマーク工科大学国立食品研究所(DTU National Food Institute)は2025年2月19日、国内の商業用養鶏場で実施中の「Safe Chicken Project(仮訳:安全な鶏肉プロジェクト)」において、放し飼いの鶏の飼料にバイオ炭を添加することで、鶏肉中のカンピロバクターを最大80%減少させる可能性を示す、有望な結果が得られたと発表しました。


カンピロバクターは、ヒトの食中毒の主要原因として知られる細菌であり、研究者らは今回の成果が食中毒の予防に貢献する可能性があるとしています。


研究者らは、過去の実験条件下でカンピロバクターの減少効果が示唆された、有機酸やバイオ炭などの飼料用・飲水用添加物を、同じ養鶏場で3回にわたって放し飼いの鶏に与えました。その結果、バイオ炭を添加した場合に最も良い結果が得られました。


実際の養鶏場で、実験室同様の結果を再現することは困難な場合が多いとする中、同研究では、生後2ヶ月で屠畜された放し飼いの鶏において、健康面に悪影響を与えることなく鶏肉中のカンピロバクターを大幅に減少させることが可能であることを実証したとしています。


そしてこの結果は、屋外への行き来が可能な養鶏方法にとって重要だとしています。なぜならそうした環境では通常、カンピロバクターに曝露する機会が増えるからです。


「カンピロバクターは毎年、多くの感染症を引き起こしています。鶏肉中の菌数を減らすことで、公衆衛生に大きな違いをもたらすことができます。今回の研究成果は、とりわけ放し飼いや有機養鶏のように従来の養鶏方法よりも細菌の抑制が難しい場合において、バイオ炭が有望であることを示しています」と、デンマーク工科大学国立食品研究所の上級研究員ブライアン・ラッセン氏は語っています。


現在、研究者らは、なぜバイオ炭が鶏の腸内に存在するカンピロバクターの量を減らすのかについての分析も行っています。カンピロバクターは、鶏の腸内マイクロバイオームに自然に存在する細菌であり、バイオ炭がそのマイクロバイオームにどのように作用し、カンピロバクターを減らすことになるのかを理解することが重要だとしています。


このメカニズムが明らかになれば、バイオ炭を使ったこの方法を従来型の養鶏や他の畜産にも応用できる可能性が開かれるとしています。


<参照情報>

Feed additives can reduce campylobacter in free-range broilers


Effect of feeding biochar, oat hulls, yeast fermentate, and organic acids on reduction of Campylobacter in free-range broilers from hatching to slaughter

 
 
 

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