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バイオ炭をフィルターとして使用、農業流出水のマイクロプラスチックを大幅に削減


Photo by FlyD on Unsplash
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ミシシッピ大学の研究チームは2024年10月9日、バイオ炭をフィルターとして使用することによって、農業流出水に含まれる有害なマイクロプラスチックを92%以上削減できたという新しい研究結果を発表しました。


同大学の化学の博士課程学生で、この研究論文の著者であるボルワティフェ・オルブソイ氏(Boluwatife Olubusoye)によると、農業に関するマイクロプラスチックには、主に二つの発生源があると言います。それは、堆肥として使用されている下水処理場からの下水汚泥と、植物を防護し成長を促すためのプラスチック製のマルチフィルム【mulch and row covers】であり、その両方が農業地域に測定可能な量のマイクロプラスチックをもたらしています。


オルブソイ氏の出身地であるナイジェリアのラゴスの人々は「プラスチックのシートが畑でボロボロになると、微細化し、農地でマイクロプラスチックが見つかることになります。そして、大雨が降ると、農地が洗い流され、農業流出水が生じます。この流出水によって、農地から、河川や湖、海洋といった水域環境にマイクロプラスチックなどの汚染物質が運ばれ、そうした場所でマイクロプラスチックが牡蠣や小魚のような生物の脅威となります」と語っています。


人間を含む動物がこれらの生物を食べることで、マイクロプラスチックは伝播する可能性があります。


オルブソイ氏とミシシッピ州オックスフォードにある米農務省の水質・生態系研究ユニット(U.S. Department of Agriculture's Water Quality and Ecology Research Unit)の共同研究者たちは、ミシシッピデルタのビーズリー湖付近の農場で農業流出水を採取しました。


ミシシッピ大学の化学・生化学部のジェームズ・チーズジェル(James Cizdziel)教授兼臨時学部長のマイクロプラスチック研究室で、採取した水のマイクロプラスチックを調べ、その水をバイオ炭に通し、バイオ炭がマイクロプラスチックの捕集にどれほど効果があるかを測定しました。


オルブソイ氏は「私たちは、農業流出水に加え、都市部での豪雨による雨水流出もマイクロプラスチック汚染の大きな発生源であることに気づきました。私たちの研究では、こうした流出の事象による汚染物質が下流水域に流入するのを軽減しようとしています」と語っています。


バイオ炭の使用によって、流出水のサンプル内のマイクロプラスチックの量は、86.6~92.6%削減できました。この初期テストが成功したため、研究者たちは、現場でバイオ炭をテストするために、取り組みの規模を拡大しています。


チーズジェル教授は「私たちの研究結果は、バイオ炭が、流出水からマイクロプラスチックを除去するコスト効率の高い吸着材である可能性を明確に示しています。そのため、規模を拡大した実地調査を進めています。バイオ炭をいっぱいに詰めた大きなフィルターソックス(メッシュ状の長い袋)に流出水を通すと、タイヤの摩耗による粒子を含むマイクロプラスチックが顕著に減少したことが、予備データによって分かっています」と述べています。


「私たちの研究は、環境と人間の健康を守るために、農場および都市部の流出水が原因のマイクロプラスチック汚染を緩和する、新しい農業・雨水管理の実践につながるでしょう」


<参照情報>

Farm Waste Can Filter Microplastics in Runoff, Prevent Pollution https://olemiss.edu/news/2024/10/agricultural-runoff-biochar/index.html

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