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米ミズーリ大学:バイオ炭を活用した断熱材を開発中




米ミズーリ大学は2024年10月8日、森林火災対策として、有害な化学物質の使用を抑えた耐火性のある断熱材の開発を進めていると発表しました。


同大学機械工学科准教授のYingchao Yang氏ら研究者は、その断熱材にバイオ炭を使用し、長期的な森林管理の支援と制御が難しい山火事対策を進めようとしています。


バイオ炭は炭素を豊富に含むことから、堆肥づくりの材料や肥料など、環境に良いさまざまな用途で使われています。炭素を土壌内に固定することで気候変動の緩和にも可能性が期待されています。さらに、土壌の保水性向上や土壌浸食の軽減など農業にも利用可能です。


これらに加えて、研究者らはバイオ炭の新たな用途として「火災の拡大を抑える」ことに着目し、米国農務省の森林製品研究所(USDA FPL)の支援を受けて研究を進めています。


Yang氏は、「この研究は、とりわけ森林部と都市部の境界地域においては非常に重要です。なぜなら、環境に優しく耐火性のある建築資材として、バイオ炭の可能性を最大限に引き出そうとしているからです」と語り、「この新しい考え方は、アメリカの国有林システム(National Forest System)およびそれ以外の森林地における長期的な管理だけでなく、建物の安全性と持続可能性の向上にもつながります」と続けました。


彼らが目指す目標は、木材・有機廃棄物・農業残留物などからバイオ炭フォーム(バイオ炭をベースにした新しい発泡体)をつくり、構造用断熱パネル(SIP)の中心部に使用することです。SIPは強度とエネルギー効率の高さから建築構造に使われることが多い材料です。


近年の森林火災の増加を受けて、国有林が近くにあり乾燥しがちな地域では、耐火構造の住宅の需要が高まっています。従来のSIPには化学物質が含まれていることが多く、災害発生時にはそれが環境中に放出される可能性があります。Yang氏の提案するバイオ炭フォームを使ったパネルは、安全で環境に優しい代替品になるとしています。


またこの研究は、住宅への適用にとどまりません。Yang氏と国有林システムに携わる人々との共同研究により、バイオ炭フォームを利用した被害の軽減方法の概要が数多く提案されています。その中には吸音(バイオ炭フォームにどれほどの防音効果があるのか)の研究もあり、弾道試験も含まれています。


Yang氏は、「有機廃棄物を価値ある材料に換えることや、持続可能なエネルギー対策への貢献、また脱炭素の取り組み促進に、私の専門知識を生かせる機会があることに、とても大きなやりがいを感じています。世界に意味ある影響を与えるイノベーションにぜひとも貢献したいと思っています」と語りました。


<参照情報>

Eco-friendly firefighting

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