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米国の技術企業、畑で作物残渣の回収とバイオ炭の生産ができる農業ロボットを開発




米ユタ大学のThe Wilkes Center for Climate Science & Policy(仮訳:気候科学・政策のウィルクスセンター)は2024年9月18日、最高の気候対策を考案した組織に贈られる賞Wilkes Climate Launch Prizeの50万ドルを米テキサス州のApplied Carbon社(自動バイオ炭生産機を設計する技術企業)に授与したことを発表しました。


同社が開発したのは、畑で作物残渣の回収とバイオ炭の生産が一度でできる移動型のソリューションです。結果として生まれるバイオ炭は、畑に施されると、土壌の健全性を高め、作物収量を増やし、肥料を削減し、非常に長期的に持続する炭素除去・貯留対策となります。


ウィルクスセンター長のWilliam Andereggは「Applied Carbon社の大胆な気候ソリューションは、農業が大気中からの炭素除去、農家の利益、土壌の健全性に同時に貢献するという、大きなチャンスに取り組んでいます。まさにこうした拡張可能で影響力の大きいソリューションは、この賞が強化に努めているものです」と述べています。


Applied Carbon社のCEO兼共同創業者であるJason Aramburuは、この20年間でバイオ炭部門が、愛好家が熱心に取り組む領域から、炭素除去市場の最大級のセグメントにまで成長するのを見てきました。


しかし、課題となっているのは拡張性です。米国には60基のバイオマス発電所があり、木材を燃焼して発電し、副産物としてバイオ炭を生産しています。こうしたやり方はエネルギーを大量消費するだけでなく、製品を発電所から畑まで輸送するための大規模なインフラが必要となり、いっそう多くの温室効果ガスを大気中に排出することになります。


Aramburuは、同社のCOO兼共同創業者のMorgan Williamsとともに、農作物廃棄物の回収、バイオ炭の生産・流通を一度で行える、より良いシステムを思い描いていました。今では、「畑でそれらすべてを一度でできる熱分解装置」という農業ロボットを開発しています。


その機械はどのように稼働するでしょうか。まずトウモロコシやコメ、綿などの畑にある残渣を拾い集め、切り刻んでプロセッサーに吹き入れます。プロセッサーから熱分解炉に入ったバイオマスが、低酸素または無酸素の環境下で約540℃まで熱されると、バイオ炭と合成ガスが生成されます。合成ガスの一部は燃焼して発熱し、熱分解反応を維持します。残りの合成ガスは、サイクロンを通過して微粒子が取り除かれると、熱酸化機に入り破壊処理され、クリーンな熱として放出されます。生成されたバイオ炭は、水に浸され、土壌かく乱を最小限に抑える形で畑にまかれます。


Aramburuは、受賞は完璧なタイミングだったと言います。「この賞のおかげで、私たちは今すぐ、さらに前進することができます。(中略)本当に重要なのは、今後金融機関や投資家に対して、この技術が機能し、拡張性を有していることを示すために、この装置一式を増産したということです」


<参照情報> Biochar farm robots win $500K Wilkes Climate Launch Prize

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