
環境課題のソリューションを展開する英RSKグループのTerrAffix社は2024年6月26日、大規模なインフラ開発などを手掛ける英KierグループのKier Transportationと共同で実施したラボテストにおいて、道路の流出水に含まれるマイクロプラスチックをバイオ炭の活用によってうまく除去できることを実証したと発表しました。
これは、バイオ炭を使って道路の流出水からマイクロプラスチックを取り除く可能性を調べた世界初のラボテスト(実験室での試験)だと考えられています。英スウォンジー大学で行われたこのラボテストで、流出水中にマイクロプラスチックの痕跡がまったく見られなかったことが確認されました。
このラボテストでは、幹線道路の排水を模したマイクロプラスチック溶液が使われました。この溶液を、フィルター・ストーン(ろ過石)とバイオ炭をさまざまな比率で混ぜ合わせた5種類のミックスを入れた水柱(それぞれ3本ずつで計15本)に通しました。使用したマイクロプラスチックは、実際の現場で一般に見られるものです。この溶液を1日3回、2週間にわたって水柱に足していきます。その量は、2000年から2018年の間でイギリス南東部において最も降水量の高かった30日の平均を基に計算しており、実際の現場での降水の特徴を再現しているとしています。
水柱を通過した後の溶液にはマイクロプラスチックが一切残っておらず、フィルターストーンに対しバイオ炭の比率が最も低いものでもマイクロプラスチックを効果的に除去できることが示されたとしています。
両社によるこうした画期的で革新的な取り組みはこれが2つ目で、昨年6月にはKierの高速道路プロジェクトで取り除いた植生を、現場でどう再利用すれば二酸化炭素の排出を大幅に削減できるのか、その実現可能性試験にも乗り出しています。
TerrAffixのマネージング・ダイレクターであるマーク・スミス氏は、「Kierと当社は、バイオ炭の使用による環境課題への貢献が二酸化炭素の排出削減だけでなく、これと同様に影響力のある第2の貢献を生み出す機会をすぐに見いだすことができました」と述べ、さらに「植生の処理、二酸化炭素の削減、マイクロプラスチックの削減に移動式設備で取り組むことは、英国はもちろん全世界における大規模インフラおよび開発分野にとっての大きな革新です」と続けました。
また、Kier Transportationの環境・持続可能性担当部長であるマット・トンプセット氏は、「私たちは、高速道路の排水システム内で大規模に展開できるソリューションに焦点を当てたいと考えていました。バイオ炭がマイクロプラスチックの除去に効果があるだろうと大いに期待はしていましたが、マイクロプラスチックの痕跡がまったく見られなかったことは、すごいことです。世界的に見ても、道路排水とバイオ炭によるマイクロプラスチックの除去に関する論文は一切発表されていませんから、この研究は新たな領域を切り開いています」と述べました。
加えて、「すべての優れた研究プロジェクトに共通することですが、研究は答えを出すと同時に疑問を提起します」と述べ、次の段階は時間の経過に伴う効果を調べることだとして、現在Kierが参画中のナショナル・ハイウエイズ(英国道路機関)による主要幹線道路A417号線の大規模改良プロジェクトで実証実験を行うべくその設計段階にあるとしています。
<参照情報>
TerrAffix and Kier identify solution to microplastics road runoff challenge
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