バイオ炭による炭素除去システムで市場をリードするドイツのPYREG社は2023年11月22日、同社の炭化システムが創出するバイオ炭による炭素除去クレジット(BCRクレジット)とそれを購入する企業をつなぐ初の金融メカニズムPCFS(PYREG Climate Finance Solutions)を始動したことを発表しました。
PCFSは、農業従事者に対して大幅な割引価格で同社の炭化システムを提供することでシステムの展開を加速させながら、そこから創出される高品質なBCRクレジットを購入企業に供給していく仕組みで、気候ファイナンスにおける初めてのソリューションとしています。
システムの特徴は次のようになっています。
PYREGは、予め合意済みの価格と納期で一定量のBCRクレジットを前払い購入することを約束した複数の企業と提携。
PYREGは、同社のバイオ炭生産設備を購入しようとする農家に対して、頭金最低20%から購入可能とする仕組みを設計。これにより農業従事者は初期費用を最小限に抑えた彼らのプロジェクト推進が可能に。残りの支払いについては、金銭の代わりにプロジェクトが創出するBCRクレジットをPYREG社に提供することで返済。
創出されたBCRクレジットは、PYREGが提携する企業に販売。企業の気候変動対策や持続可能性に関する目標達成の支援に。
カーボン・クレジットを専門とする世界的な保険会社Kitaと協働し、カーボン・クレジットの損失をカバーする革新的な保険商品を構築し導入。BCRクレジットの購入者にとって非常に重要な信頼を提供。
同システムにおける透明性・効率性のある監視・報告・検証を確実にするために、Carbonfuture社のMRV+システムと完全に連携。また同システムにより生産されるバイオ炭はPuro Standard(ボランタリークレジットの認証基準のひとつ)が定める厳しい適格要件に準拠。
PYREG社は今後、このシステムを通して同社のバイオ炭生産設備を2040年までに最大150台まで増やす計画で、これにより大気から毎年最大50万トンの炭素を除去できるとしています。そうすれば、同年までに全体で400万トン超のBCRクレジットを創出し、2050年までに提供することが可能になるとしています。
<参照情報>
PYREG launches climate finance solution to accelerate biochar carbon removal, generating over four million carbon credits by 2040
INTRODUCING PCFS
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